愛知県にある椙山女学園は、今年で110年の歴史を持つ学園です。その大学の教育学部教授と附属幼稚園園長を兼務する石橋尚子先生は、愛知県内で年に約30回、悩めるママたちのために子育て講座を開いて、アドバイスをされています。
先生は気さくなお人柄で、自分の体験談とともに、参加者に楽しく寄り添ってくださいます。そんな先生の講座はいつも申し込みが相次ぎ、抽選になる人気ぶりです。今回は子どもの発達に関する分野が専門である先生に、ママたちからの相談が1番多いという「イヤイヤ期」の付き合い方について教えていただきます。
イヤイヤ期がある3歳までは、年齢によって、ママと子どもとの距離感が変わってくるそうです。
1歳までは、何をするにもママと一緒で一体化した行動ばかり。例えば、ママの描いた絵を色で塗り潰してしまったりするのは、「一緒に描いている」という気持ちの表れだそうです。まさに、“ママと気持ちも一緒に”という想いの時期です。1歳半頃になると、「自我(自分でやりたい)」「表象(目の前にないものを描く)」という気持ちが出てくるようになります。これを「1歳半のフシ(節目)」と呼びます。例えば、買い物でバナナを買った後、食卓でミカンが出てきたら、その場にバナナがなくても「バナナが食べたい」という発想が出てくると言われています。
そして2歳になると、ママと一緒から抜け出し、さらに自我が芽生えます。まだ甘えがあるので、「みてみて」と言い、それにママが頷いたり反応したりすることで安心感を得ます。3歳からは、ママの外に出て、外の世界へと視野を広げていきます。
最初の「イヤイヤ」が出てきた!うまく付き合う方法は?
1歳半のフシの時期より、自我が芽生え、イヤイヤが始まり、自分なりの意図を持った主体的な人間へと変化を遂げていきます。まさに「自分」という人間が存在しているということに気がつき、自分の意思を表していこうとするようになるのです。
最初は、靴を履くときに「靴は履きたくない」などと周囲の働きかけに反発してみたいのだそう。それを解消するためには、選択肢を与えることが有効です。例えば、靴を履かずに困ることがあれば、「帽子と靴どっちから履く?」など選択肢を広げてあげてください。そして、「帽子」と答えたら、その後「靴も履いてお出かけしよう」とつなげてみてください。
エスカレートしていく「イヤイヤ」の対応の仕方とは?
2歳からは、はっきり理由を言って、イヤだというようになります。そして、徐々に「気持ち」が分かるようになってきます。この時期からは、相手に自分の気持ちがきちんと伝わったことが嬉しいので、「だめ」と否定せず、とにかく「わかった」「いいよ」と気持ちを受け止めてあげて、できることはできる範囲で叶えてあげてください。できないことは「できない」と伝えてあげるようにしてください。
一番困る「イヤイヤイヤ」と床などに寝そべり、ダダをこねる行為は、ダダをこねることで、自分の想いが叶うと思っているから。気持ちの受け止めと真摯な行動で接してあげてくださいね。
石橋先生のお話はまだまだ続きます。次回は「小学校の入学前準備とは?」について伺います。