花粉症と言えば春のもの……そんな認識は、いまや非常識になりつつあります。ここ近年、増加の一途をたどっているのが、晩夏~秋にかけて起きる花粉症。では、どんなものに注意すればいいのでしょう。秋の花粉症について、一緒に勉強してみましょう!
最も多いのはイネ科の花粉症
日本ではほぼ1年中、様々な花粉が飛散しています。スギ花粉によるアレルギー患者は人口の20%ほどいると言われていますが、次いで多いのがなんとイネ花粉で、人口の10%程度もの患者数がいると言われています。
イネ科の植物でアレルギーの原因となりうるのは、麦、葦、ススキ、カモガヤ、ギョウギシバ、オオアワガエリなど。開花時期は6~9月の夏季のものが多いのですが、草を刈り取る時期になると、残っていた花粉が飛び散ることがあり、それによって症状が出ることもあるようです。
また、温暖化によりイネ科の植物が秋に入っても咲き続けてしまうのも、アレルギー患者が増える一因になっていると言われています。
イネ科花粉症になってしまった後で注意したいのが、食べ合わせによるアレルギー「OAS(口腔アレルギー症候群)」です。イネ科の花粉症にかかってしまうと、特定の食べ物に対してアレルギー症状がおこり、重症になるとアナフィラキシーショックを起こすともされています。とくにカモガヤ花粉症はこの症状が顕著で、メロン、スイカ、キウイといったフルーツを食べると、口の中がかゆくなったり、粘膜や喉が腫れる等の症状を起こします。
フルーツを食べたあとに喉の不快感が残る場合は、すぐにでもアレルギー検査をするようにしましょう。
アメリカでは最も多いブタクサ花粉症
日本全国、どこにでも生えているブタクサやオオブタクサも、花粉症を引き起こす要因のひとつです。とくに南関東ではブタクサが原因となったアレルギーが増えていると言われています。開花時期は8月~10月にかけてで、午前中に大量の花粉を飛ばします。ブタクサは、風に乗せて花粉を飛ばす「風媒花」とも呼ばれる花。そもそもが外来種ですので、もしも近所に生えているようなら、サクッと刈り取って処分しちゃいましょう。
ブタクサアレルギーの困った点は、くしゃみや目のかゆみだけではなく、激しい咳が出るなど、喘息のような症状を起こすことです。喉が弱い方や、小児喘息を患っているお子様は、とくに注意するようにしてください。
また、顔が赤く腫れたり、吹き出物が増えたり、かゆみが出るなど、皮膚炎のような症状を起こすこともあります。気になる場合は、大きめのマスクをして外出するようにしましょう。
ヨモギの花粉も、原因になります
秋の花粉症の代表格のひとつに、キク科の多年草であるヨモギが挙げられます。花粉の飛散する時期は8月~10月頃ですが、草そのものの背丈があまり高くないため、イネ科やブタクサに比べて、花粉はあまり遠くまで飛び散ることはないといいます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった、いわゆる花粉症の症状が出ますが、ヨモギ花粉症になるとカモガヤと同様に「OAS(口腔アレルギー症候群)」を発症しやすくなります。ヨモギによるOASは、リンゴ、バナナ、ウリ科の食べ物と反応することが多く、口内のかゆみや腫れといった症状のほか、下痢や腹痛、じんましんなどを発症することもあります。
春の花粉症と同様、秋の花粉症も、マスクや眼鏡といった道具をこまめに使用することにより、花粉を体内に入れないことが大切です。花粉症と風邪との大きな違いは、目のかゆみやのどの痛みといった風邪の症状があるにも関わらず、鼻水が透明であることが挙げられます。
アレルギー対策の第1歩は、自分にどんなアレルギーがあるかを知ることです。おかしいな?と思ったら、アレルギー検査を受けにいくようにしましょう。