
「ビットコインを買うならココ!」といったTVコマーシャルが増え、2015年頃から日本でも人気を見せている仮想通貨。中には数億円というお金を稼いだ人もいるようですが、ところでこの仮想通貨とは何なのでしょうか。
史上初の仮想通貨の運用が開始されたのは2009年。その1年前に、ナカモトサトシと名乗る人物が、ネット上に「ビットコイン」についての論文を発表。この論文を元に、ビットコインのプロトタイプとなるプログラムが2009年にUPされ、これを見た世界中のハッカーやプログラマーたちが興味を持ち、次々にこのプログラムを書き換えていく、という現象が起こったといいます。
当時はまだ、仮想通貨はあくまでも仮想のものであり、現実的な取引を行うことなど、誰もが想定していませんでした。しかしこれを普及させたのが、いわゆる“マフィア”でした。「シルクロード」と呼ばれる違法サイトを作り、その決算手段として仮想通貨を取り入れるうようになったのです。
往年のマフィア映画には、麻薬や武器の取引の際、現金をアタッシュケースに入れて持ち歩くシーンが見受けられますが、実際にはとても危険な行為です。また、現金手渡し以外のやりとりを行うためには、これまで手数料のかかる銀行など金融機関を介するほか方法がありませんでした。しかしビットコインにはそうした手数料がほぼかかりません。また、ネット上で取引が行えるため、瞬時に送金できるという便利さもありました(米国では、国内送金に数日かかるそう)。
こんな“便利でお金のかからないもの”を、マフィアが放っておくわけもなかったのです。
そうして広まった結果、価値がイッキに上昇!
2013年の秋に「シルクロード」の運営者が逮捕され、沈静化しかけたように見えた仮想通貨ですが、世界的な金融不安により人気が高まります。そこに目を付けたのが、中国人富裕層でした。彼らは、不安定な「元」をなんとかして「ドル」に変えるため、ビットコインを爆買いしました。2013年11月にビットコインは史上最高価格を更新し、2010年に1ビットコインにつき8セントほどの価値だったものが、なんと1200ドルにまで高騰してしまったのです。
しかしこのバブルは、中国政府の介入により落ち着きを見せ、2014年に入ってからは安定した価格で取引されるようになりました。ここでようやく日本国内でも仮想通貨が広く認識されはじめ、国内初のビットコインATMが登場するなど、様々な場所で使用・流通するようになります。
2015年にEUの最高裁がビットコインを“通貨”として認めたことから、再び、仮想通貨が過熱します。ビットコインだけでなく、コインチェックやアルトコインといった、600種類を超える様々な仮想通貨が生まれます。そうした人気の中、2016年夏には1ビットコインが6万円で取引されることになり、2017年に入ってからも急騰。一時は、240万円ほどで取引されるまでになりました。
しかし、2018年に入ってから、仮想通貨をターゲットにしたハッキング事件が続出。日本でもニュースになったNEMなど、その損害は計り知れないものとなりました。そのため、価値は60万円台にまで下落しました。
リスクを知ってから手を出しましょう
利用者に対する価値の保証がないこと、ハッキングによる攻撃や改ざんの恐れがあること、詐欺商法に使われやすいことなど、仮想通貨が抱える問題は大きく、ネットやリスクに詳しくないようであれば、気軽に取引を行うことはおすすめできません。
まだまだ歴史が浅く、一般的な通貨とは隔たりがある仮想通貨。また、仮想とはいえ利益を得た場合は“収入”となりますので課税対象になります。生半可な知識で手を出さないほうが身のためかもしれません。
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