
そうめんに、冷や麦に、冷ややっこに――冷たいものが美味しい季節が今年もまたやってきましたね! こうした”冷たい”料理にはもちろん、日ごろの食事に欠かせないのが「薬味」と呼ばれる縁の下の力持ちたち。こうした薬味は、夏バテ予防には欠かせないともいわれています。いったい、どのような効果が「薬味」にはあるのでしょうか。
そのまま食べたときに「美味しい!」と思える状態に作るのが、料理の基本ですよね。でも、味覚や嗅覚には個性があり、趣味嗜好には個人差があります。また、同じ味のものを食べ続けると、どうしても飽きがきてしまうもの。そうしたときに役に立つのが「薬味」なんです。
薬味に使われる素材は、香りが強い、辛みなどの刺激がある、歯ごたえがある、といった、少し料理に足すことで、さらに料理の味わいを深めてくれるものばかり。中には、入れることでまるで別の味わいになってしまう薬味もありますが、基本的には、料理の味を引き出すものが選ばれています。
もともとは「五味」と呼ばれていた薬味
薬味というのはもともと、中国の医学用語として使われていた言葉で、「五味」と呼ばれていました。五味とは「甘い・苦い・酸っぱい・辛い・塩っぱい」の5つを指し、体調や病状に応じて必要な味を取ることが大切だとされていたのです。この五味を「薬味」と呼ぶようになり、現代に至るまで、食事に欠かせないものとして重宝されているのです。
最大の意義は、解毒などの健康対策!
薬味を語る上で絶対に忘れてはならないのは、その健康パワーです。消化を助ける、免疫力を高める、解毒作用をもたらす……といったように、薬味は、食べる人の健康を増進する役割も持っています。漢字で「薬」の「味」と書くのは、まさにこうした効能から。日本では奈良時代にはすでに、ショウガ、ノビル、サンショウ、カラシといった香辛料が薬味として使われていたとされています。
ちなみに、主だった薬味のそれぞれの効能を挙げると、
ネギ=ビタミンA、ビタミンCの補給、抗菌・殺菌効果
ショウガ=殺菌、抗菌、消臭、消化の促進、冷えの改善
ニンニク=ビタミンB1の吸収を促進、殺菌・抗菌・抗酸化
サンショウ=消化の促進、胃腸の働きをサポート
ミョウガ=食欲増進、消化の促進、発汗、解熱効果
シソ(大葉)=ビタミン補給、血流の改善、防腐作用
海苔=生活習慣病予防、骨の強化
ワサビ=消化の促進、食欲増進、免疫力向上
ゴマ=整腸作用、高血圧・貧血の予防
からし=殺菌、抗菌、消炎
となります。また、食べ物との組み合わせにより効果を発揮するものとしては、
・蕎麦+大根おろし=蕎麦に含まれる、毛細血管の働きを強化するルチンの吸収を、大根のビタミンCがサポート
・天ぷら+かんきつ類=かんきつ類の精油成分(香り)と果汁(ビタミンC)が、天ぷらの油っぽさを抑える
・お吸い物+三つ葉=温めることで三つ葉の香りが引き立ち、鎮静作用が活性化され不眠症を改善。消炎、血行促進も期待できる
・うどん+七味唐辛子=うどんの糖質を、ナイアシンが効率よくエネルギーに変換し、肥満を予防。発汗、滋養強壮にも効果的
などが挙げられます(他にも効果はたくさんありますよ!)。
健康をサポートしてくれる天然の「サプリメント」として、この夏の食卓に「薬味」をたっぷり取り入れてみてください。
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