
近年、何かとネット上で議論が白熱している「子どもたちを、市街地の道路上で遊ばせること」の是非。遊ばせることを肯定する親は「道路族」とも呼ばれ、否定派から叩かれることも多いようです。では実際のところ、道路上で遊ばせることは「罪」になるのでしょうか? 正しい行いなのでしょうか?
・公園が遠く、目が行き届かないから近くで遊ばせたい
・自宅前の道路なんだから、住人が遊ぶ権利くらいあるはず
・車がそこまで通らないから安心して遊ばせられるはず
・誰にも文句を言われたことがない
というのが、道路族の言い分。昭和の時代には、路上でケンケンパやゴム飛びをして遊ぶ子どもたちを多く見かけたもので、こうやって意見を聞くと、まぁ、道路上で遊ぶことにそんなに目くじらを立てなくても……なんて思わなくもありませんよね。
道路交通法的にも「交通の妨害となるような方法で、寝そべり、すわり、しゃがみ、または立ち止まっていること」、「交通の頻繁な道路において、球技、ローラー・スケート、またはこれらに類する行為をすること」を禁止しているだけなので、子どもがかけっこをしたり、縄跳びをしたり、友達とおしゃべりをしたりしている程度であれば、罪に問われることはありません。
でも、そうした単純な遊びだけではすぐに飽きてしまうのが子どもというもの。キャッチボールをしたり、バドミントンをしたり、他人の庭まで使ってかくれんぼをしたり、大声で騒いだり……こうなってしまうと周囲への迷惑は計り知れません。
住宅街での死亡事故が多発中。道路で遊ぶのはとても危険です!
国土交通省の調べによると、交通事故の多くは「生活道路」と呼ばれる住宅街にある道路上で起きています。さらに歩行者の死傷事故を割合にすると、生活道路2:幹線道路1と、生活道路での事故の発生件数は約2倍。
遊んでいる子どもがボールを追って急に飛び出したり、自転車に乗る練習をしていて転んだり、ドライバーさんがどんなに気を配っていても、避けようにも避けることができない事故が多いのもまた、住宅街の路上での事故の特徴です。
自分の子どもをこうした事故から守るためには、やはり、路上で遊ばせないようにするしかありません。
自宅に庭があれば、庭の中で。庭が無いようであれば、多少遠くても公園に連れていくか、校庭を開放している学校で遊ばせるようにするのが得策です。集合住宅に住んでいるのであれば、多目的室の整備や、屋上の開放を理事会に訴えかけ、子どもたちが遊べる環境を自分たちで整えてみてもいいでしょう。
子どもを健康で元気に育て上げたい! と思うのであれば、道路上での遊びは止めるに越したことはありません。あなた自身がラクをしたいからと、家の前の路上で遊ばせるのはナンセンス。子どもを守るためにも、安心して遊べる場所に連れていってあげるようにしてみてください。
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