幼児期に差し掛かって、お姫様へのあこがれを募らせている女の子は多いと思います。せっかくなら、本当に美しい、ママもうっとりするような、お姫様の絵本を読んでみませんか? おすすめは「イメージの魔術師」と呼ばれたエロール・ル・カインの絵本。特に、筆者の4歳の娘がお気に入りの3冊をご紹介しましょう。
「おどる12人のおひめさま」(訳/やがわ すみこ)
グリム童話やアンデルセン童話など、よく知られているお話の絵本を描いているエロール・ル・カイン。この「おどる12人のおひめさま」も、グリム童話です。我が娘は、タイトルからして惹き付けられていました。だって、大好きなお姫様が12人もいるんですよ!
エロール・ル・カインの繊細な絵が、隅々まで活かされている一冊でもあります。12人それぞれのドレス、お城や風景、文章のバックに描かれた模様まで彩り豊かで、美しいの一言。2015年に上梓された、原書の色を再現した改訂新版がおすすめです。
「いばらひめ」(訳/やがわ すみこ)
こちらも、2015年に原書の色を再現した改訂新版が上梓されています。「眠れる森の美女」「眠り姫」といったタイトルでも知られる、グリム童話の絵本です。
眠ってしまうお姫様が美しいのはもちろんのこと、風景描写も見どころ。特にお城を取り囲むいばらは、実に細やかに描かれています。
「シンデレラ または、小さなガラスのくつ」(訳/中川千尋)
誰もが知っている「シンデレラ」。でも、実は「シンデレラ」の類話は世界各国にあり、シャルル・ペローの「サンドリヨン、または小さなガラスの靴」や、グリムによる「灰かぶり姫」などが有名です。そして、このエロール・ル・カインの絵本は、ペローのお話をもとに描かれたもの。かぼちゃの馬車やガラスの靴が登場するくだりは、ペローの独創だったのだそう。そんなお馴染みのモチーフも、エロール・ル・カインは美しく描いて、子どもの想像力を掻き立ててくれます。
この絵本、モノクロのページもあるのですが、それもまた繊細さが際立っていて惚れ惚れさせられます。おかあさんやおねえさんたちの、ちょっぴりユーモラスな表情も楽しい一冊です。
いかがでしたか? 字が多い絵本なので、対象年齢としては6歳くらいからだと思いますが、その絵の美しさには、幼児から大人まで魅了されるはずですよ。